■ 苦しみながらもPK戦で決勝進出!
アジア大会の男子サッカーは準決勝を迎えた。2010年大会以来の金メダルを獲得を目指すU-21日本代表は9月30日(水)に長居陸上競技場でU-23ウズベキスタン代表と対戦した。日本は2028年のロス五輪を見据えて21歳以下の選手で大会に参加しているが、相手のウズベキスタンも同様。ここで勝てば、10月3日に行われる決勝は韓国との日韓戦になる。金メダル獲得を目指す大岩JAPANにとって大きな一戦となった。
日本は「4-1-2-3」を採用。GKピサノアレックス幸冬堀尾。DF森壮一朗、DF永野修都、DF土屋櫂大、DF小杉啓太が4バックを形成して、中盤はMF保田堅心、MF石渡ネルソン、MF石井久継。前線はFW古谷柊介、FW道脇豊、FW石橋瀬凪が並んだ。準々決勝の北朝鮮戦から先発11人を総入れ替え。決勝を見据えたターンオーバーを採用したが、この判断は結果的にはかなり苦しい120分につながった。
前半の日本はかなり低調だった。ウズベキスタンは攻守ともに組織的で、テンポ良くボールを動かして日本の守備を揺さぶった。前半10分に先制を許した後も日本はなかなかペースを取り戻せず、攻撃も単発。前線までボールを運んでも有効な形にはつながらなかった。シュートチャンスはほとんどなかった。「0-2でくらいのスコアで負けてもおかしくない。」と思える内容で、前半はウズベキスタンの方が明らかに良かった。
■ MF横山夢樹の投入で試合の流れが一変
ところが後半開始から右ウイングのFW古谷柊介を下げてFW横山夢樹を投入すると、試合の流れは大きく変わった。FW横山夢樹が左サイドからドリブルでガンガン仕掛けることでウズベキスタンの守備ラインが下がって、日本が押し込む時間が一気に増えた。彼に対する相手のマークは相当に厳しかったが、それでも縦に運んでクロスまで持っていける。1人で局面を変えられるドリブラーの価値を改めて示した。
後半17分にはMF大関友翔、MF嶋本悠大、FWンワディケ・ウチェブライアン世雄を一気に投入。日本は次々にチャンスを作ったが、ウズベキスタンのGKも好セーブを連発した。MF横山夢樹も突破までは素晴らしかったものの、クロスやラストパスの精度には改善の余地がある。それでも後半43分、DF小杉啓太の素晴らしいクロスからMF石橋瀬凪が決めて1-1。敗色濃厚だった日本を救う起死回生の同点弾だった。
延長戦も主導権を握ったのは日本だった。MF大関友翔やMF嶋本悠大にビッグチャンスが訪れるなど、勝ち越してもおかしくない場面は作ったが、疲労の影響もあって最後の精度を欠いた。120分で決着は付かず、勝負はPK戦へ。10人目までもつれる長い戦いになったが、日本が9-8で勝利した。先発を総入れ替えして主力を休ませる狙いだっただけに120分を戦ったのは誤算だが、とにかく決勝への切符はつかんだ。
■ 心配になるFW古谷柊介の低調ぶり
気になるのはFW古谷柊介である。1月に行われたU-23アジア杯では大事なところで価値あるゴールをいくつも決めた。大会MVP級のパフォーマンスを見せたが、今回のアジア大会は良さを出せていない。この試合でも右サイドで先発したものの、攻撃面で効果的なプレーはほとんど無かった。プレーに関与する回数そのものが少ない一方で、ボールを持ったときのロストは目立つ。前半のみでの交代も致し方なしだった。
FW古谷柊介が機能しない影響もあって、右SBのDF森壮一朗も良さを出しにくい状況になっている。現状では右サイドはMF福永裕也を起用した方がベターに見える。彼の方がチャンスに絡めているが、まだまだ未知数な部分は多い。東京世代にはMF堂安律やMF三好康児、パリ世代にはMF久保建英やMF松木玖生がいたが、ロス世代は「左利きのアタッカー」がかなり不足している。新しい戦力台頭に期待したい。
ゴールが遠い190cmのFW道脇豊に対する批判の声も大きいが、現状ではこれくらいが精いっぱいだと思う。この試合でも前線で身体を張って、相手CBと戦った。今、彼がやれることは全てやっていた印象を受ける。そもそもとして、FW後藤啓介、FW塩貝健人、FW高岡伶颯、FW神代慶人、FW新川志音など、この年代の有力なCFは海外でプレーしている選手が多くて、フォワードの選択肢自体が極めて少ない。
■ MF小倉幸成の不在はやはり大きい。
中盤ではMF保田堅心が個の強さを見せたが、MF保田堅心は本来アンカー系の選手ではない。ボールを奪う強さや前に出ていく力は魅力だが、最終ラインの前でゲーム全体を整理する役割とは少し異なる。MF石渡ネルソンがアンカー役になってから多少は落ち着いたものの、MF石渡ネルソンも典型的なアンカータイプではない。こうして見ると、怪我で長期離脱しているMF小倉幸成が不在の影響はやはり大きい。
途中出場したMF嶋本悠大は2つのビッグチャンスを外した。得点を決められなかった点は残念だったが、ゴール前に入っていく動き自体は非常に良かったので評価したい。彼も試合の流れを変える働きを見せた。左SBのDF小杉啓太は同点ゴールにつながる素晴らしいクロスを供給するなど攻撃面で存在感を発揮したが、その一方で、国際試合になるとサイズやスペック面で限界を感じる場面は少なくない。
前半は完全にウズベキスタンのペースで、このまま敗退しても何ら不思議ではなかった。それでも後半に立て直して追いつき、延長戦を経てPK戦を制した。大岩監督はトーナメントになると異常と言えるほど勝負強い。この点は森保監督とは好対照である。準決勝で120分を戦った疲労は大きいが、決勝ではこの日ベンチスタートだった選手が中心になるはず。10月3日の日韓戦で、最後に金メダルをつかみたい。