■ 決勝進出をかけたエクアドル戦

キリン杯の準決勝。日本代表は10月1日(木)に横浜国際総合競技場でエクアドル代表と対戦した。FIFAランキングは日本が17位、エクアドルが25位。チケットは完売で、スタンドは大勢のサポーターで埋まった。「秋の4連戦の3試合目」となるエクアドル戦に勝利したら、キリン杯の決勝戦でニュージーランドと対戦することになる。来年1月のアジア杯のメンバー入りを目指す選手にとって貴重なアピールの場となる。

日本は「3-4-2-1」。GK鈴木彩艶。3バックはDF瀬古歩夢、DF板倉滉、DF伊藤洋輝。ボランチはMF佐野海舟とMF田中碧。右WBにMF堂安律、左WBにMF中村敬斗。2シャドーはMF久保建英とMF鈴木唯人。1トップには横浜F・マリノスのFW谷村海那が入った。大半がW杯メンバー候補という顔触れの中、FW谷村海那はA代表初先発となった。J1では8試合で6ゴールと好調。ホームの日産スタジアムで先発の機会を得た。

ベンチスタートになったのは、FW上田綺世、FW塩貝健人、MF鎌田大地、MF伊東純也、MF前田大然、MF相馬勇紀、DF鈴木淳之介、GK小久保玲央ブライアンなど。当初のメンバーから、DF渡辺剛、MF熊坂光希、DF安藤智哉などが怪我で離脱して、MF佐藤龍之介はクラブ事情からすでに代表を離脱している。代わって、DF望月ヘンリー海輝とDF荒木隼人が追加招集されるなど、慌ただしい状況になっている。

■ 前半から強度の高い攻防が続く

試合は立ち上がりから両チームが激しくプレーした。「ファールか!?」と思われるプレーも主審が積極的に流したこともあって、ばちばちの展開になった。エクアドルはサイド攻撃に迫力があって、日本は何度か危ない場面を作られたが、最終ラインは集中力を切らさずに対応した。日本は右のMF堂安律、左のMF中村敬斗を起点に攻め込んだものの、相手の守備強度が高くて、決定的な形まではなかなか作れなかった。

0-0で迎えた後半開始からFW谷村海那を下げてエースのFW上田綺世を投入。後半22分にはMF久保建英、MF鈴木唯人、MF堂安律を下げてMF鎌田大地、MF伊東純也、DF鈴木淳之介を送り込んだ。日本は交代カードを使いながらゴールを狙ったが、エクアドルも最後まで強度を落とさず。後半の半ば以降にMF伊東純也、MF鎌田大地、FW上田綺世あたりがチャンスに絡んだもののネットは揺らせなかった。

90分を終えて0-0。勝負はPK戦に持ち込まれた。日本はFW上田綺世など5人のキッカーが全員成功したのに対して、GK鈴木彩艶がエクアドルの3人目をストップした。PK戦を5-4で制してキリン杯の決勝進出を決めた。辛くも勝利したが、日本らしい攻撃を十分に出せた試合とは言い難い。チケットは完売で、日産スタジアムに65,012人が集結したことを考えると、「凡戦だった。」と言わざるを得ない内容だった。

■ FW谷村海那には厳しい展開になった。

FW谷村海那は前半のみで交代となった。身体を張って味方につなぐポストプレーには良さが出ていた。2つほど見せ場もあったので、まったく何も出来なかったわけではない。ただ、肝心のFW谷村海那のところに質の高いボールがあまり入ってこなかった。「28歳にして代表初先発」ということで大きなチャンスだったが、結果は出せず。悪いパフォーマンスではなかったがもっと積極的にプレーしても良かった。

MF鈴木唯人も悪くはなかったが、強いインパクトを残すところまではいかなかった。ボールを持ったときに前を向いて仕掛ける場面はあったものの、後半にあったMF久保建英の絶妙なスルーパスから抜け出しかけたシーンでトラップをミスしたのは残念だった。代表でのキャップ数も増えてきたので、そろそろゴールやアシストという分かりやすい結果が欲しい。2シャドーは激戦区なので、生き残るのは相当に大変。

中盤ではMF佐野海舟の出来が良かった。相手との球際で簡単に負けず、危険な場面では素早く寄せてボールを奪う。そこから前向きにボールを運ぶ場面も多く、攻守両面で存在感を発揮した。一方、後半から右WBで起用されたDF鈴木淳之介はあまり機能せず。守備力は高いので「守備固め要員」としては一定の計算は出来るが、0-0というスコアでゴールが欲しい状況では攻撃力の部分で本職のWBとの差を感じた。

■ 「セコム瀬古」がまたも安定したプレー

3試合連続で先発したDF瀬古歩夢は、この日も安定感のあるプレーを見せた。1対1の対応、正確なくさびのパス、カバーリング、ゴール前でのポジショニングはいずれも高水準。3試合とも、攻撃でも、守備でも、大きなミスはほぼ無かった。身体能力の高いエクアドルの選手には全く負けておらず。ここ数試合は「セコム瀬古」と呼びたくなるほど安心感がある。日本代表の最終ラインの軸になりつつある。

最近のDF瀬古歩夢はプレーだけでなく、表情も以前とは変わったように感じる。もともと強気で、勝気な性格の選手だったが、ここ最近は常に険しい顔をしており、90分間ずっと高い集中力を保っている印象。代表での立場が変わったことで自信も出てきたのだろう。DF冨安健洋が怪我がちで、DF谷口彰悟は年齢的にそろそろ厳しくなっていくことを考えると、DFリーダーにならないといけない立場になってきた。

いくつかの収穫はあったものの、ウルグアイ戦やベネズエラ戦と比較すると収穫の乏しい試合になったことを否定するのは難しい。時代を担うMF松木玖生、FW塩貝健人、FW後藤啓介、MF齋藤俊輔などに十分なプレー時間を与えることが出来ていないのも気になるところ。ニュージーランドも守備の堅いチームだと思うが、連動した攻撃で多くのチャンスを作りたい。すっきりした試合でキリンカップを獲得したい。