■ 15年ぶりのキリンカップ優勝を目指す。

キリンカップは決勝を迎えた。日本代表は10月5日(月)に国立競技場でニュージーランド代表と対戦した。ニュージーランドのFIFAランキングは86位。準決勝のエクアドル戦は0-0からPK戦を制して決勝進出。森保監督にとって国内で指揮を執る最後の試合になる。秋の代表活動はここまでPK勝ちを含めて3連勝。ニュージーランドを下して15年ぶりのキリンカップ優勝を果たして、秋の4連戦を最高の形で締めくくりたい。

日本は「4-2-3-1」を採用。GK鈴木彩艶。4バックは右からDF中野就斗、DF瀬古歩夢、DF伊藤洋輝、DF鈴木淳之介。ボランチはMF佐野海舟とMF鎌田大地。右SHにMF堂安律、トップ下にMF久保建英、左SHにMF前田大然が入って、1トップはFW上田綺世。日本代表が試合の最初から4バックを採用するのは2024年3月以来となった。3バックが基本になっている中、アジア杯を見据えて別の形を試せたことは大きい。

ベンチスタートになったのはMF伊東純也、MF中村敬斗、MF田中碧、MF鈴木唯人、MF相馬勇紀など。MF松木玖生、MF田中聡、MF佐野航大、FW塩貝健人、FW後藤啓介など若手組もベンチに入った。秋の代表活動では新しい選手が次々に招集されており、この試合でもどこまで若手に出場時間を与えるのか?は注目ポイントだったが、決勝ということもあって先発は2026年のW杯を戦った主力組が中心となった。

■ 久しぶりの4バックはまずまず機能

試合は立ち上がりから日本がボールを保持した。ニュージーランドは低い位置に3ラインを作ってスペースを消したので、簡単にシュートまで持ち込めなかったが、日本は両サイドを広く使って攻略を図った。前半28分に右サイドのDF中野就斗がクロスを入れると、最後はFW上田綺世が決めて先制に成功。しかしながら、前半32分にMF前田大然の軽率なパスからカウンターを受けて失点。1-1で前半を折り返した。

後半も日本が主導権を握ったが、なかなか勝ち越しゴールは生まれなかった。後半19分にMF中村敬斗、MF伊東純也、MF田中碧を一気に投入すると攻撃は活性化した。後半26分に左サイドでMF中村敬斗が得意のドリブルで仕掛けて折り返すと、最後はファーサイドのMF堂安律が押し込んで2-1。途中出場した選手が流れを変えたが、前半から積極的なプレーを続けていたMF堂安律が勝ち越しゴールを奪った。

その後はDF荒木隼人、MF佐野航大、FW塩貝健人、MF松木玖生、MF田中聡も投入。3点目を奪うことは出来なかったが、ニュージーランドのカウンターを受ける場面はほとんどなかった。終盤は比較的落ち着いて試合を進めることができた。2-1で逃げ切った日本は15年ぶりのキリンカップ優勝。秋の4連戦はPK戦での勝利を含めて4連勝。森保監督にとって国内最後となる代表戦をしっかりと勝利で締めくくった。

■ 右SHのMF堂安律が活き活きとプレー

もっとインパクトを残したのは右SHでプレーしたMF堂安律だった。最近は右WBで起用される機会が多いが、この日は1列前でプレーしたことで攻撃面の良さが存分に出ていた。ボールを持ったときは積極的に仕掛けた。MF久保建英との距離感も良好。後半26分には決勝ゴールを記録した。右WBのMF堂安律も決して悪くはないが、彼の攻撃力を最大限に引き出したいのであれば右SHの方が適しているように感じる。

アジア勢との対戦など、日本が相手を押し込める試合では4バックの方が合っている可能性はある。3バックの場合はWBが幅を取る必要があるので、MF堂安律は低い位置まで戻る時間も増える。一方、「4-2-3-1」であれば右SBの選手が後方を支えてくれるので、MF堂安律はより高い位置でボールを受けられる。当然、どちらかに固定する必要はなくて、相手や試合展開に応じて使い分けられるようになるのが理想だろう。

守備陣で大きな収穫と言えるのはCBコンビになる。DF瀬古歩夢とDF伊藤洋輝はニュージーランドのエースであるFWクリス・ウッドを相手にしても安定感があった。高さや強さのある相手だったが、大きく崩される場面は少なかった。さらに2人とも守備だけではなく、後方からの縦パスやロングパスで攻撃の起点になった。3バックでも4バックでも高いレベルでプレーできるCBが揃っているのは日本の強みと言える。

中でもDF瀬古歩夢は秋の4連戦で評価を大きく高めた選手の1人と言える。試合を重ねるごとに安定感が増しており、この試合でも常に集中した状態でプレーしていた。A代表でなかなか序列を上げられない時期が長かったが、今では「最終ラインの軸」と言っていいほどの存在になった。彼の正確なくさびのパスは日本代表の大きな武器になっている。ムラッ気のある選手だったが、ここ最近は安定感が出てきた。

■ 4バック採用時のSBは大きな課題

右SBのDF中野就斗はまずまずの出来だった。前半28分には彼のクロスからFW上田綺世の先制ゴールが生まれた。攻撃面では結果を残した。ロングスローも日本代表では珍しい武器なので、セットプレーに近い形でチャンスを作れるのは魅力。ただ、失点シーンでは最初の判断が少し遅れて、最後は相手に走り負ける形になった。A代表レベルで右SBとして生き残るためには、1対1の守備や判断力をさらに高めたい。

左SBのDF鈴木淳之介も悪い出来ではなかった。後半3分にはクロスからFW上田綺世の惜しいシュートをお膳立てする場面もあった。慣れたポジションではないことを考えると十分に対応した。ただ、4バックを本格的に使うのであれば、左足で質の高いクロスを送れて、サイドを何度も上下動できる選手は欲しい。国内組も海外組も左SBの人材は不足気味。4バック採用時の最大の懸念材料は左SBになるだろう。

MF前田大然の左SHもなかなか良かった。爆発的なスピードを生かして背後を狙う動きには迫力があり、4バックの左SHでも十分に使えることを示した。ただ、失点につながった軽率なパスは反省材料になる。途中出場したMF中村敬斗は決勝ゴールを見事にアシストして、FW上田綺世へのあわやアシストという場面も作った。MF佐野海舟はこの日もさすがの出来で、途中出場したMF田中碧も中盤に安定感をもたらした。

一方、MF松木玖生、MF田中聡、FW塩貝健人など若手組は出場時間が短く、目立った見せ場を作ることは出来なかった。もう少し長い時間見たかったが、決勝というシチュエーションを考えると仕方がない部分もある。言うまでもなく、若手の突き上げは絶対に必要となる。来年1月のアジア杯まで残された時間は限られるが、MF松木玖生やMF佐藤龍之介など新戦力候補が既存のW杯組をどんどん脅かしてほしい。